社会課題に向き合うNPOの活動と政府の動き

先日、国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター〔以下、ビフレンダーズ東京〕が主催する西原由記子記念事業講演会にオンラインで参加しました。

ビフレンダーズ東京は、私がプロボノチームの一員として昨年夏から支援しているNPO団体です。

ここ数年でボランティア相談員の数が減少し、さらにコロナによって相談員の募集や育成が困難な状況となっています。

その課題解決のための提案は昨年末に実施したのですが、団体内の運営スタッフが非常に繁忙であるため、引き続き支援する予定です。

話は戻りますが、ビフレンダーズは自殺防止の活動団体として、イギリスを中心に世界中に拠点を持つ組織であり、日本では西原氏が大阪に設立したのが始まりです。

西原氏は、残念ながら2014年に亡くなられたのですが、記念事業として毎年講演会が開催されています。

今年は、NPO法人東京シューレ・雫穿大学代表の朝倉氏を招いて「不登校・ひきこもりを経験して生きていく」というテーマで実施されました。


現在の日本では、いわゆる「ひきこもり」とされる人が100万人以上います。

改めて、その多さに驚きます。

ひきこもりについては、要因の一つに日本の教育の特殊性があるそうです。

日本では、国立、公立、私立の区別なく、義務教育については教育内容が統一されており、単一カリキュラムとなっている。そのため通った学校があわなくても、ほかの選択肢は少ない。

フリースクールに行くことになった場合、「レールから外れてしまった」と本人は感じ、また周りからもそのように思われ、苦しい感情に追い詰められることになってしまいます。

一方で、たとえば韓国。

日本以上の学歴社会と言われ、受験勉強や競争の苛烈さはたびたび話題になります。ですが、カリキュラムが多様であるため自分にあった選択をすることが可能であり、フリースクールに行くのは「転校」であって、標準ルートからの脱落ではない、とのこと。

日本特有の制度が、多様性を許容できない社会を作り出しているのです。

とはいっても、ひきこもりは日本だけの問題ではありませんが、日本で社会問題化していることをイギリスのメディアが知り、「hikikomori」として報道したため、いまやこの言葉は世界共通になっているそうです。

日本の教育委員会は、過去には「登校させる」ことを是とし、布団に入ったままの生徒を車に担ぎ込んで学校に連れて行くことまでしたとのこと。

今の感覚では考えられませんが、当時はこれが正しかったのでしょう。


この「感覚」の変化は、現場で関わってきたボランティアやNPO団体、あるいは研究者、教育者たちが、正しい知識を情報発信してきたからこそだと思われます。

自殺防止に関しても、関連団体は防止活動だけではなく、それを世間に正しく伝える活動を行っています。

昨今は、報道機関でも有名人の自殺に関する報道にあたっての注意が浸透してきましたが、それもあるNPO団体の努力によるものです。

書いていて、本当に頭が下がる思いですが・・・


菅首相が12日、「孤独・孤立対策」担当を設置すると発表しました。

自殺防止や高齢者の見守り対策、子どもの貧困など各省庁にまたがる施策の総合調整役という位置づけだそうです。

まだ今後どのような動きになるかはわかりませんが、これらの社会課題に対する、政府の優先順位が上がったということなのでしょう。

ボランティアや各NPO団体が声を上げ続けたことが、一つの形になったと言えるのではないでしょうか。

この先の動きを注視していきたいと思います。 ビフレンダーズ東京の活動に関心のある方はこちらへ ⇒特定非営利活動法人(認定NPO)国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター トップページ (befrienders-jpn.org)